2023年04月12日

ジャム―ティーからのステロイド

“花粉症に効く”という触れ込みのジャム―ティーからステロイド成分検出の報道あり
https://www.asahi.com/articles/ASR4D5S3QR4DUTFL00P.html

ちょうど、口コミをいただいていたこともあってかニュースが目を引いた
なお検出量は1g当たり3μgらしい
医療用のデキサメタゾンは0.5mg錠〜なので
単純計算では3μg=0.003mgとしておよそ茶葉100gに対して0.3mg程度となるが、
製造ロットによってはもっと少量でより多くのステロイドを含んでいたものがあってもおかしくない
総量として相当量のステロイド含有であれば確かに効くかもしれないが、当然ながら健康食品区分のお茶にそのような薬効成分が含まれることは許されない


健康食品全般に言えてしまうことだけれども、健康食品はあくまでも“食品”に過ぎない
製造工程まで厳しく管理を受ける医薬品と比べれば規制は緩く、それゆえ今回のような度が過ぎた成分が混入していても気づかれにくい
記事中のドクターが『おや?』と思わなければこれがずっと見過ごされたまま流通され続けていた可能性もあった
全てジャム―ティーが同じとは言えないけれども、こうなってしまうと買い手側はどれを信用していいのか分からないだろう
医薬品と比べて手に取りやすいかもしれないけれどもこういったリスクもあることを念頭に置き、購入の際は極力信頼できるメーカー品を選んでいくのが良いと思われる
posted by うたまろう at 20:18| Comment(0) | TrackBack(0) | モショっとつぶやく

2023年03月31日

安全規則は血で書かれている

つい先日、保津峡の急流下りにおいてまたも死亡事故が起きてしまった
まずは亡くなられたお二人にお悔やみを申し上げる

ここ京都ではもはや景色の1つとなっている保津川下りだけれども、一度の事故で二人も死者を出してしまったとあれば
「急流下りに新たに規制を設けるべし」
といった議論は避けて通れないだろう

タイトルにある「安全のためのルールは血の文字で書かれている」という言葉には
安全規則とは単にお飾りの文ではなく、その一つ一つがそれが設定される前に起きた凄惨な死亡事故を教訓にして作られたものであることを肝に銘じよ、という戒めが込められている
我々が今日を安全に生きられるのは先人たちの屍によって固められた道と、先人たちの血で書かれた道標があるおかげである…
そこに気づくことが出来れば、先人らの尊い犠牲は決して無駄ではなくなる

話を戻す

聞くところによれば、この急流下りは“動力を持たない舟”が用いられているため、一般的な船舶にあるようなルールが適応されないのだという
それによってかは知らないが、船頭さんはプレート式のライフジャケットではなく腰に巻きつけて有事にヒモを引いて展開するような簡易なライフジャケットを身に着けている程度であったという
コレは万が一のときはヒモを引くことでエアバッグのように膨らむ代物らしいが、そもそもライフジャケットが必要になるような局面で、冷静にヒモを引けるのだろうか?
自分には自身がない
これがもし一般的なライフジャケットを装着しなければならないとされていたら、助かっていた道もあったのではないか?
あるいはそもそも急流下りなんて認可していなければ誰も死ななかったんじゃないか?…といった
意見は出て然るべきところ

さてどうなるのか
もしこれが医療事故対策であるならば
たとえ“万が一”であるとしても中止とせよ、となる可能性が極めて高い

“万が一”は数字で表せば0.01%となり、通常の物事においては無視してよいレベルの低い確率だ
しかし医療事故対策では「万が一にでも起きてしまうことは100パーセント起こる」という考え方でリスクを管理する
なぜならば医療における「万が一」はおおよそ死を招くものだからだ
そしてそれは自然というヒトにはどうしようもないことを相手にする保津川下りもおなじではないか

これが地域にとっての伝統であるし、生計を立てているヒトがたくさんいることも知っている
しかしそれでも人命損失には勝てないじゃないか…
時間はかかるだろうけれども、絶対に人命が脅かされない運航ルールが適応されることを願うばかり
posted by うたまろう at 03:03| Comment(0) | TrackBack(0) | モショっとつぶやく

2023年01月20日

緊急寄稿☆そのイナビル・・・ちょっとまって

インフルエンザ爆発どーん!!
なぜだ?今回は学級閉鎖になる判断が遅いのか?
とにかくインフルエンザが猛威、もういいよってくらいに猛威

さて、そんなインフルエンザにすっかりおなじみとなったイナビルですが、、
コレ、お子さんにお勧めがあった場合はよくよく検討してください

イナビル吸入粉末は従来のインフルエンザの薬とは異なり“一回だけ吸えば終わり”という紹介があるかもしれませんが、実際は“最低でも2吸入が必要”です(@を吸って、続けてAを吸います)

そしてこのイナビル、吸入の際に特異な風味が伴います
大人にとっては変な甘苦さですみますが、子どもにとっては看過できない嫌な味らしい
即ち@を吸った時点で『もうやだ!二度と吸いたくない!!絶対にだ!!!!!!』
となる可能性があります

繰り返しとなりますがこのイナビルは最低でも2吸入が必要です
かろうじて@を吸えても、Aまでしっかり吸えなければそれは成功とは言えません
ウイルスに対して効果がないばかりか、却って耐性のあるウイルスを残すリスクまであります

つまるところ、自身のお子さんがインフルエンザ+と診断された場合、
イナビルが提案された場合はただ“吸入ができるか”というポイントだけではなく、
“特異な不味さに耐えて二回目を吸う根性はあるか?”というポイントまで含めて検討していただきたい、ということです
なお誤解のないように書けば、イナビルを吸えないのが即根性なし、ということではありません
インフルエンザに罹れば非常にしんどいのでいつものようにいきません
普段は聞き分けの良い利口なお子さんであっても上手くいかない可能性が出てくる、ということです
こういったイレギュラーまで含めて検討されるのが患児にとって最良と思っています

ここでイナビル以外の手段について振り返ります
内服薬では先発品のタミフルが有名な、オセルタミビルのドライシロップ(粉)があります
従来通り5日間続ける必用がありますが、効果においてはイナビルに非劣等(劣らない)とされています

口からの服用が問題ない子であれば、それはもうオセルタミビルで十分なんじゃないでしょうか
posted by うたまろう at 23:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 活動日誌

2022年09月13日

面倒さは減る代わりに生じる別の問題

新型コロナウイルスへの対抗策として限定的に認可されていたラゲブリオ
これまでは国の管轄として保険請求に関わらない別者扱いとされてきたが、少し前にこれにも薬価がつけられた
そして来たる9/16から一般流通が開始することが正式に決定された

これによって何が変わるかと言われればまず煩わしさが減る
これまでは“ラゲブリオ流通センター”なる機関の管理下のもと、
調剤薬局であれば1店舗につき3個までの備蓄が許され、どなたか患者さんに処方されたらその情報を逐一報告してそれが発注代わりになり、、といった具合にそれなりの手間が発生していた
一般流通が開始されるということはそれが無くなる

しかし、それを手放しで喜べるのかと言われるとそうでもない

まず、保険証を忘れてしまうと10万円超の請求という非常事態が発生する

というのもこのラゲブリオ、薬価がべらぼうに高い
1カプセルが約2500円で、これを1日8個×5日続けるから40c…つまり1人1箱10万円が保険で請求される

これまで当方が受け付けたラゲブリオを含む処方せんが発行された患者さんの中にも、うっかり保険証を忘れてしまった方が少なからずいたが、これまではラゲブリオは窓口で請求しない扱いであったためにあくまでもその他の分について自費で払えば事足りた
しかし今後はまず主保険があり、そこから公費で賄われるという扱いに変わるので先に挙げた通り『保険証を忘れた場合は10万円以上を建て替えなければならない』という強烈な問題が浮上する
今後も当面は公費で賄われるので保険証さえあれば患者さんに負担がないことは確かなので、今後はとかく保険証が切れているとか忘れたとかが極力少ないようにされたし

あともう一個問題がありそうだけど、、それはまたの機会にしよう
posted by うたまろう at 16:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 活動日誌