2018年06月24日

続き〜腎保護で長生き?〜

続き
ただし、前の記事を途中で放り投げて後半に来ているので前後が繋がるかわからない(笑)

さてSGLT剤の前に、まずは腎臓の濾過と血糖について。
ヒトは腎臓で血液を濾過して尿を作っているが、血糖については正常な場合も含めて『糸球体(濾過装置)』でいったん全て透過させている。
本来、糖は生体維持に必要な物質なので、
そのままでは尿に糖が漏れ出さないように糸球体のすぐ先にある『近い尿細管』で再吸収している。
この再吸収の窓口になるのが『SGLT2チャネル』
ここでは“ナトリウムイオンと一緒に糖を運び出す”という仕組みが働いていて、
お待ちかねのSGLT剤はこの窓口をお邪魔して、再吸収を受けなかった血糖はそのまま尿から排泄され、血糖は下がる。

…と、ここまでが“普通に血糖が下がるまで”のお話

SGLT剤が腎保護をし、余命を改善するヒントはおそらくこの先にある。
さらに生理学な話を進めます

@『マクラデンサ』というセンサーが『遠い尿細管』に存在する
(SGLTチャネルが発現する『近い尿細管』の先)

Aこのマクラデンサは、“人体の体液バランス”を見張っていて、例えばナトリウムイオン濃度が減った場合は
“体液が増えている(からナトリウムが薄くなっている)”と判断をして
→“糸球体の濾過量を増やして体液を減らせ!”という指令をだす。

ここで問題が発生。
【SGLTチャネルは“ナトリウムイオンと糖を運び出す”ということを思い出して下さい】
糖尿病者ではそうではないヒトに比べてSGLT2チャネルが多数作られていて、日々血糖とナトリウムが汲み出されている。
その結果、マクラデンサの付近ではナトリウムイオン濃度が低くなってしまうため、
“ナトリウムが来ない!もっと濾過だ!”
と誤った指令が出て無用な糸球体濾過を催促してしまう。(過剰濾過)
B必要以上の仕事を強いられる糸球体はやがて破壊されてしまい、
残った糸球体が今以上の仕事を強いられる悪循環に進んでしまう。
やがて糸球体は全滅し、『透してはいけないタンパク』まで通過させてしまい、正常な生体バランスを維持できなくなってしまう。

これが俗にいう『尿たんぱく』で、やがては腎不全、透析へと進んでしまう前兆である。

ここまでが腎臓のろ過機能が低下するおおよその流れ。

おそらく、SGLT阻害剤によって起きるのは
@再吸収阻害による血糖そのもの低下
→『近い尿細管』内に糖分子が増える
→『近い尿細管』側の浸透圧が上がる
→糸球体に血液を送り込む『輸入細動脈』の圧力が少なくてすむ
→糸球体保護
A@に加えマクラデンサの誤関知が減ることによる濾過要求量の低下
→糸球体保護
BSGLTチャネルで共輸送されなかったナトリウムイオン濃度低下による血圧低下
→輸入細動脈圧低下
→糸球体保護?
(ナトリウムイオンについては『遠い尿細管』で再吸収されてしまうため、関与は薄い説あり)

…などなど、以上の点が腎機能を保持してくれる=健康寿命を伸ばす、と考えられる機序となる。
そしてこれは『非糖尿病の高血圧患者にも使った方が良いのでは?』と考えることもでき、さらなる研究結果が待ち望まれる所。

個人的に、
もしも私が高血圧+血糖高めであれば、
このSGLT2剤を希望するでしょう。
しかし幸か不幸か、私は低血圧(80−50とか)…
なのでちょっと自分では試せないのが残念。
posted by うたまろ at 15:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 活動日誌

2018年06月23日

SGLT2製剤はまさかの腎保護機能で逆転ホームランを放つのか?

右京支部会の勉強会に参加。
お題は糖尿病性腎症ということだけれども、最近になってSGLT2がフォーカスされている。
なんでも『心血管系イベント(脳卒中や心筋梗塞等)を有意に抑制した』というスタディ(研究結果)が出たとか。

もう少し分かりやすくかみ砕くと
まず、糖尿病患者はそうでないヒトと比べて『寿命が7〜10年ほど短くなる』ことが統計で明らかになっている。
この寿命差を限りなく解消するのが糖尿病薬の使命となっている。
しかしながら、1961年に販売されたメトホルミン(糖尿病薬のレジェンド)で
『このクスリを使った患者の方が長生き出来ました』
という結果が出て以来、“これまでの糖尿病薬ではそれ以上に患者さんを長生きさせられる薬剤は生まれていない”という事を聞けば、これがいかに凄い進展であるかが伝わるのではないかと思う。

なお、誤解が無いように述べておくと、これまでに糖尿病薬も着実に進化してきたことは間違いない。

そもそも『なぜ糖尿病は治療が必要か』ということについては、
網膜症(失明)
末梢神経症(下肢切断)
腎症(透析になってしまう等)
といった三大合併症を抑えることが真の目的となるけれども、
上記のうち、『失明』や『下肢』については、大きく減らせたことが統計に現れている。
これは糖尿病の重症度をしめす『HbA1c値』について、近年の薬剤が大きく、かつ安全に改善できるようになってきた事が貢献している。

問題は『腎症』だ。

腎症の進行の先には透析があり、そうなってしまうと年間で一人当たり500万円の医療費が発生するという。
頻繁な通院に専用食等、本人家族が大変なことは言わずもがな、
昨年時点で約33万人を数える透析患者さんを支える社会負担額について問題視されている。
この透析に繋がる『腎機能の低下』については、糖尿病薬そのものではほとんどフォロー出来ていなかった。
それが冒頭の『依然として糖尿病患者は寿命が7〜10年ほど短い』ことにも関係している。

この“糖尿病性腎症”を改善すべく、今までたくさんの『血糖を下げる薬剤』と『それによる試験』が多数行われてきたが、
前述の通り、残念ながら芳しい結果は出ていない。
むしろ“血糖は下げすぎればむしろ寿命は短くなる”というスタディすら出てきてしまっており、
(厳格に標準血糖にコントロールしようとした群では低血糖が多発し、そこそこ適当にコントロールしていた群よりも死亡率が高くなってしまった)
これによって『高齢者などのハイリスク群には程々のコントロールにしましょう』という流れができあがっていた)

そこで、近年で期待されていたのが、“低血糖を引き起こしにくい”と言われるDPP-4阻害系の薬剤であったけれども、
このDPP-4も、寿命を大きく改善するようなスタディは現時点では知られていない…

そんなこんながあって『ただ糖だけを下げても変わらない部分があるんじゃないか?』
といった見方が最近になって拡がってきている。

そこで注目されているのがSGLT阻害剤。
新機序をもちながら、当初は『高齢者は脱水になる』『女性には膀胱炎を助長する』などと散々な言われようだった。
DPP-4の影で息を潜めるかのような存在だったSGLT剤の評価が今、変わりつつある。


続く
posted by うたまろ at 20:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 活動日誌

2018年06月21日

チビ経営コンサルタントさん現る

『あのね−、患者さんがもっと増えるアドバイスをしてあげましょう』

「(笑)・・・先生、良かったら聞かせてくださいな」

『おくすりの値段をもっと安くしようか!』

「うーん、、申し訳ないが先生、この薬局で取り扱うお薬の値段は国によって〇〇円と決められていて、
勝手に高くしたり安くすることは出来ない決まりなんです。」

『えー、、じゃあ、80歳とかで、重い病気を持っているヒトはお薬代がかからないようにしよう!』

「!?」
「それはいい案ですね先生!じゃあ、明日からそうします」
『やったあ!!』
(上記の主旨と一致する、重症老人健康管理事業という制度が実在します)

「ただね、先生。なんでもかんでもタダにすれば良いというものでもなさそう。」
「誰かがタダになる代わりに、他の誰かがお金を出さなくちゃならない」
『ふーん』
「これから君たちが大きくなったら、君たちがおじいさんやおばあさんたちの分までお薬代を出すことになる」
『えー!?じゃあ、お薬をもっていくときには500円は出してもらう様にしようか!』

「(笑)ではそうしましょう。先生はもう、寝てくださいね」

・・・在宅療養中の患者さん宅に訪問してお薬をお渡しし、適切な服薬管理を行う事で発生する
【訪問服薬管理指導料】
その自己負担分は500円+αで、ぴったり賞

さすがの自分もこんな話は子供とはしないし、
小学校で流行っているとも思えない、、
とすると、たまたま感じた事をそのまましゃべっているだけなのか。

時々、子どもたちは鋭い。